「仕事」について考える(1) 

毎週日曜日、夜11時から毎日放送(TBS系)で放送している「情熱大陸」という番組がある。この番組が個人的に非常に好きで、毎回楽しみに見ている。3月後半から4月前半は、新入社員研修なども重なり、ゆっくりとテレビを見ることもできず、ようやく予約録画をしていた番組を見た。

そして、ある若い女性の「職業観」というか「人生観」というか、「使命感」ともいえる生き様に、大きな衝撃を受けた。そして、なぜか、胸が熱くなり、涙があふれ出た。

その女性の名は、山口絵理子さん、若干26歳。

バングラデシュで、一人「かばん」作りを通じて、経済「支援」を行っている。

なぜ、バングラデシュなのか?
それは、バングラデシュが、アジアで最も経済的に困窮しているから。

彼女は、大学時代に発展途上国開発に興味を持ち、インターンで国際援助機関で働いた。しかし、そこは、世界中から集まった「援助資金」を、キーボード一枚、ペーパー一枚の予算配分を行うだけで、そのお金が実際にどのように使われているのか、そういったことに関心を示すこともなく、金額を動かすことで、途上国が良くなっているという「幻想」の中で働いていた。そのことに対して疑問を感じて、自分の足で歩き、目で真実を見たいと、バングラデシュにやってきたということであった。そこで目の当りにした「真実」が、彼女を現地で、中から変えていかなければという思いを起こさせたのである。


なぜ、「かばん」なのか?
その理由は、バングラデシュの特産品に「黄麻(ジュート)」があり、そのジュートを使ってかばんを作り、そのかばんを日本の自分のショップで販売し、その経済活動を通じて、バングラディシュを変えようという志を持っているのである。この国を変えるのは、先進国からのお金ではなく、この国の人たち自身である、という思いが、彼女を現地でのかばん作りに駆り出すのであろう。


この若さにして、この志の高さに、感銘を受けることが多かった。

お金ではなく、地位や名誉でもなく、彼女は、遠く離れたバングラデシュを変えたい、それも、中から、現場から変えたいという思いだけで、異国の地に一人で生活をしているのだ。

彼女とともに働く、現地人の男性の言葉が、何よりも心に響いた・・・。

「これまで、大勢の人々が開発の名の下にやってきて、お金や食料を援助してくれました。でも、私が思うに、それには持続的な効果はありません。なぜなら、人々に無償で何かを与えるのは、彼らを「物乞い」にするのと同じだからです。エリコさんは全く違う哲学の持ち主です。彼女は「ビジネス」を通じてこの国を力づけようとしています。それこそが、人々を救う唯一の持続的な道と私も信じています。もし仕事があれば、彼らは誇りを持って生きていけます。それが、私が彼女と共に働く最大の理由です。」


仕事とは何か?
仕事とは、生きることそのものである。
仕事によって、人は自分らしく生きることができるのである。

彼女が一人ではじめたバングラデシュでのかばん作りも、今では多くの仲間ができた。彼女かばん作りを主な仕事としている工場は、2年ほど前は、わずか4名の工場が、今では30名を越す社員を抱える工場になった。彼女のかばん作りが、着実に現地の人を「幸せ」にしているのである。

そのことを、自分のことのように喜ぶ彼女の笑顔が、なんとも幸せそうであった。

彼女は、かばんを作りたいがために、この場所にいるのではない。彼女は、かばんつくりを通じて、バングラデシュの輝ける未来をつくっているのである。