上杉鷹山に学ぶ人材育成の必要性 

人材育成の重要性については、前回のブログでも書きましたし、このブログの中でも繰り返しお伝えしていることです。そこで、今回は本ブログのおすすめ書籍としてご案内した「代表的日本人」でも取り上げられている、上杉鷹山から、人材育成の重要性とそのポイントについて考えてみたいと思います。

【上杉鷹山という人物】
上杉鷹山は、第九代の米沢藩主であり、財政難に陥っていた米沢藩を立て直した大名です。上杉鷹山について書かれた本は数多く存在しますが、様々な書籍の中でも、鷹山のことを、「リーダー」という視点で書かれた「上杉鷹山の経営学」(PHP文庫)は、今の時代の経営者が持つべき考え方や行動を非常に良く表しています。特に、大きな経営改革を必要とされる今の時代に非常に参考になる事柄が多いと感じます。
上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件 (PHP文庫)


鷹山は、米沢藩の藩主ではありますが、もともとは、九州の日向(今の宮崎県)の秋月家に生まれました。その頃の米沢藩の財政は逼迫しており、鷹山が後継する直前には、版籍奉還を幕府に申し出るまでに到っていました。このように、財政的には厳しい状況が続いているにも関わらず、一度染み付いた贅沢な生活や考え方はなかなか変えることができないもので、鷹山が藩主になった頃の米沢藩は、依然として、様々な行事に関しては、昔ながらの厳かな形式を重んじておりました。また、諸々の事情で、藩地は縮小されて、最大時の5分の1以下になったにもかかわらず、人員整理をすることもなく、歳入の不足分に関しては、藩民に「借金」をしてまかなっており、藩民への負担は、日に日に高まり、藩に対しての不満は高まるばかりでした。現代の企業に例えるならば、「経営破たん」寸前の「老舗企業」と言えます。鷹山は、破綻寸前の藩の再建を任され、様々な改革を行い、見事に米沢藩の再興を成し遂げたのでした。

各種信用調査会社のレポートによると、過去数年の倒産企業の傾向としては、創業30年以上のいわゆる「老舗」企業の倒産が、全体の25%以上を占めていると言われています(平成19年12月現在)。
私が知りうる限りではありますが、老舗企業の倒産の特徴の一つとしては、社長が世間体を気にするあまり、大胆なリストラクチャリングできないことがあげられます。また、「過去の栄光」にしがみつき、新しいものへの取り組みが遅れるという傾向もあります。
では、現代企業における「老舗」が倒産せず、経営再建を果たすためには、何が必要となるでしょうか。
老舗企業には、様々な「制約」がついて回ります。歴史のある企業ですから、地域の「目」は気になるところでしょうし、それまでのやり方(営業構造や商慣行)に固執する部分が多分にあります。
しかし、企業が守るべきものは、「事業」ではなく「企業」なのです。企業を取り巻く環境は日々変化しています。そのような中で存続発展するためには、「事業」は環境に適応して変化し続けなければなりません。
鷹山は、藩の再興に向けて、過去の栄光を捨て、まずは自らが率先して倹約を行い、土を耕し、帰農を奨励し、作物を育てるなどの民政事業を行いました。まさに、「企業」である「藩」を守るために、「事業」を環境に合わせて適応させたのです。
時代の変化は大きく、そして早くなるばかりです。昨年2007年は「2007年問題」ということで、団塊の世代の一斉退職にはじまり、組織の人員構成が大きく移り変わりつつあります。その中で、これまでは正しいとされてきたことや、うまくいってきたことでも、変えなければならないこと、変わらなければならないことを見極め、変革しなければなりません。変わる勇気、退く勇気を持つことは、老舗企業に限らず、企業経営においては必要な要件であるといえます。まさに、不易と流行を見極めた経営が必要になるのです。
変革を求められるものは、経営者だけではありません。社員さんにも同様に求められることであり、経営者は、社員さんに意識と行動を促す必要があります。そのためにも、人材育成は欠かすことができません。個の成長がなければ、組織の成長発展はありません。より多く、より良質の学びの場、気づきの場を提供することで、その意識と意欲は高まります。
鷹山も、人材育成の必要性を認識しており、改革と同時に、藩士・農民など、身分を問わずに学問を学ばせました。ここで学んだ中から、後々の藩の繁栄を支える人材が多く輩出されたことを考えると、組織の継続的な成長発展のためには、人材育成は重要であることを物語っています。

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